検査済証ない ことで所有されてる建物の工事を断られたことはありませんか?検査済証がもしなかったら、用途変更や増改築を行うときどのような問題が起きるのでしょうか。
この記事では、検査済証が存在するかを調べる方法と、検査済証ない物件はどのように増改築すればいいのかをご説明します。
目次
検査済証とは?
工事が完了した時に、完了検査というものを受けます。こちらは民間の指定検査機関が主に行っています。
検査は完工から4日以内に完了検査の予約申請をしなければいけないと建築基準法で定められています。
この申請に基づいて完了検査が実施され、検査員は現場にて、図面通りに施工されている事を確認します。
完了検査に合格すれば 「検査済証」が 交付されます。
ちゃんと図面通りに作られていて、建築法に違反してないという証明書の様なものです。
適法の証明
建物を建てる際には、設計が終了した段階で建築確認申請をします。建築確認申請が承認されるともらえるのが「確認済証」です。
しかし、確認済証 があるだけではその建物が適法であることの証明にはなりません。その建物が適法であると証明するためには、
「検査済証」が必要になります。
検査済証と確認済証の違い
工事の着工前に、図面・必要書類を揃えて、指定検査機関に提出をし、
建物が建築基準法を違反していないかの審査をすることを確認申請と言います。この段階で問題がなければ確認済証が指定検査機関により発行されます。つまり、確認済証は工事を着工するために必要な証となります。
確認申請の上、確認済証が出ても、当初の設計通りに建てられていなければ、適法性が判断できないので、(図面は適法でも、違うものを建てたり、図面と違う部分があったり・・)完了検査を行い、当初計画の通りの図面通りのものができているか確認をします。
しかし、現実としては確認済証はあるが、完了検査を受けてなく、検査済証がないというケースが多いです。
検査済証が存在するか調べる方法
管轄の区役所建築課などで、「台帳記載事項証明書」の発行手続き等をして、検査済証や確認済証の発効履歴の有無は確認することは可能です。ここでポイントとなるのは完了検査が行われていたかどうかで、こちらが実施の確認とれれば検査済証があるということになります。しかし、大事な「確認済証番号」「確認済証交付年月日」の欄が空欄か米印などで日付が未記載になっています。その場合 「台帳記載事項証明書」も有効ではありません。
築24年以上の建築物の半数以上が検査済証がない
1999年以前は、完了検査を行うのが国の検査機関しか行っていなかったため、建物に対して検査が間に合っていなかったそうです。検査が行われていないため、もちろん検査済証も発行されていませんでした。この理由により、1999年以前の建物には検査済証がないことがとても多いです。つまり、築24年以上の建築物の半数以上が検査済証がない物件だったそうです。この事により、1995年に発生した阪神淡路大震災では建物倒壊が多発したそうです。
倒壊した建物の多くは、検査を受けてない、建築基準法を満たしてない、違法建築物だったそうです。この背景から、違反建築を取締るという観点から、違反建築物が建たない様に未然に防止をするという考え方に変わり、1998年に建築基準法制定以来の大改正が行われました。
完了検査を国から民間の指定検査機関に開放し、2000年から全国の検査率が一気に上がりました。
さらに詳しく→【検査済証の有無の経緯】
検査済証がないデメリット
・銀行等からの融資がおりづらい
2003年以降は、検査済証のない建物に対して、融資を控えるようにと国土交通省から金融機関への要請があり、検査済証のない建物に対して、融資がおりづらいと聞きます。それまでは、検査済証がなくても、融資が通るケースは多かったらしいのですが、上記を概ね境に厳しくなったようです。
さらに詳しく→検査済証がない物件の融資と住宅ローン
・住宅ローンが組みづらい
国土交通省の要請により、現在でも住宅ローンを利用する際には検査済証の提出が求められます。検査済証がない場合は、住宅ローンの審査が通らない可能性が高いです。
・売買の際の不動産価値が下がる
オーナー様や不動産会社さんが所有している建物が、検査済証がないと不動産価値が下がってしまう可能性があります。違法建築物かもしれないという不安が拭えないからです。また、売買の際に検査済証がないことによるデメリットを買い手に説明する必要があります。
さらに詳しく→中古住宅と検査済証がない建物の運用
・確認申請が必要となる工事ができない
特段、工事もせず(もしくは申請の必要ない工事程度)住居として使っていく分には問題にならない場合もあるかもしれませんが、後々の生活スタイルが変動していく際に、それに付随する工事ができない可能性があります。
なぜ、増改築に検査済証が必要なのか
完了検査を経て交付される「検査済証」ですが、 増改築や用途変更の際にも確認済証の有無を必ず問われます。なぜ 増改築や用途変更にも検査済証 が必要なのか、その理由を解説していきましょう。
増改築
建築基準法では、ある一定以上の規模の建物を新たに増改築する際には、再度建築確認を申請して承認してもらう必要があります。 「増改築」とは、元の建物に部分的に付加させることや、元の建物と同じものを作ることを指しています。もし、元の建物が違法建築で、そのまま増改築をしてしまった場合、増改築後の建物も違法建築になってしまいます。そうなることを避けるため、元の状態で建物の適法性が証明できていない建物(検査済証がない建物)は、建築確認申請を受け付けてもらえません。
建築基準法では、以下のように書かれています。(参考までに載せておきます)
法第6条1項 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合 …(中略)… 、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定 …(中略)… に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。 …(以下略)
大規模改修・修繕工事
大規模改修・修繕工事は部分や規模にもよりますが、構造に近い部分や割合が大きければ増改築と同じように 再度建築確認を申請して承認してもらう必要があります。その際、元の建物の検査済証 の提出を求められます。
建築基準法で言うと、 法第六条1項 にも登場した「大規模の修繕」や「大規模の模様替え」という言葉がこれに当たります。
エレベーター等の昇降機設置
エレベーターを設置したい場合も、上記とほぼ同じです。ある一定以上の規模の建物に新たにエレベーターを設置する際には、再度建築確認を申請して承認してもらう必要があります。その際も元の建物の検査済証の提出を求められます。
法第87条の四 政令で指定する昇降機その他の建築設備を第六条第一項第一号から第三号までに掲げる建築物に設ける場合においては、…(中略) (要約すると法第六条1項 及び他にもいろいろ) … の規定を準用する。…(以下略)
用途変更
「 用途変更 」とは、文字通り建物の用途を変更することです。
住居ビル→一階を飲食店に(飲食店部分が200㎡を超える場合)、
戸建て住宅→保育園(200㎡を超える場合)などがこれに当たります。
用途変更にあたるかは、用途と規模によりますが、おおざっぱに言えば変更後、不特定の人が大勢、頻繁に訪れる予定がある場合です。用途変更の際には、用途変更届を提出する必要があります。用途変更届には元の建物の検査済証 を添付する必要があります。用途変更の考え方は、元の建物が元の用途において適法で、更に新しい用途と現状の建築基準法に適合させることができれば安全が確保できるだろうという考え方です。ということは、元の建物が違法建築ならば、そのまま用途変更をしてしまった場合、変更後の建物も違法建築になってしまいます。 増改築の場合と同じように、元の状態での建物の適法性を証明する必要があるので、検査済証 の添付が必須になっています。
検査済証ない物件はどう改修すればいいのか
「12条5項報告」を活用
検査済証が存在していない建物の適法性を証明するための救済措置としてこんな法文があります。
法第12条5項 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。 …(以下略)
ここには具体的なことが書いてないのでわかりにくいのですが、大まかに説明すると「ちゃんと調査をして報告をすれば、検査済証(ではないけれど)があることと同等であると証明できる」という法律です。
ガイドライン調査が解決手段の一つに
ですが、平成26年に国土交通省から、具体的な調査基準(通称「ガイドライン調査」)が明示され、これを使って民間の指定検査機関が調査して検査済証があるのと同等であると証明できるようになりました。
ガイドライン調査 とは
ガイドライン調査とは、検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査の為のガイドラインにより、国土交通省へ届出を行った指定確認検査機関等が実施する法適合状況調査のことです。平成26年に国土交通省から、具体的な調査基準(通称「ガイドライン調査」)が明示され、これを使って民間の指定検査機関が調査することで、
検査済証があるのと同等であると証明できるようになりました。大まかに説明すると
「ちゃんと調査をして報告をすれば、検査済証(ではないけれどがあることと同等であると証明できる場合がある」という法律です。
ガイドライン調査の流れ
まず、ガイドライン調査の前段階として必要な手順を列挙していきます。
1.事前相談~情報収集
ご依頼を受けたらまず施主様へのヒアリングと簡易調査をします。ここで建物の構造、規模等を確認します。ガイドライン調査をするのであれば当然目的があるはずなので、目的や動機の確認も早い段階で行います。
2.既存図面の確認
既存図面はあるか、検査済証はあるかなど資料の確認、収集を行います。
3.図面作成
もし既存図面がない場合は復元図面を作成することになります。現場を測量して建築士が一から作成します。
4.関係機関への事前相談
今後の進行をスムーズに行うため管轄の役所及び関係機関への事前相談にいきます。
さらに詳しく→管轄の役所及び関係機関への事前相談
ガイドライン調査の調査内容
役所等に確認が取れて、ガイドライン調査を行うにあたって、主に2つの調査を行います。
目視で確認できる意匠調査と、破壊調査による躯体調査が実施されます。
意匠調査
意匠検査は、指定確認検査機関が行う調査です。現況の建築物が、竣工当時の建築基準法に適合しているかを調べます。
いくつか具体例を挙げると、
・敷地境界線から建物の各部分がはみ出していないか
・必要な面積区画の区画壁の扉が防火戸になっているか
・避難経路に必要な通路幅が確保されているか
・図面にない物置やサンルームが設置されていないか
調査して当時の建築基準法上全くの適法であればいいのですが、そういったことはまずないので、是正すべき箇所を指摘されます。指摘された是正すべき箇所の一つ一つに対して対応を検討します。ほとんどの場合工事をして解決する必要があるので、どのように是正していくかを考え、必要であれば図面を作成します。
是正箇所を工事を行い、報告書として写真付きの資料を検査機関に提出します。
*下記は、「ガイドライン調査報告書」の中身の一部抜粋。意匠関連の是正ポイントが、意匠検査の際の撮影写真をベースに、記載されてきます。是正すれば、その旨も報告書として記載されます。
躯体調査
1、躯体調査は指定確認調査機関の人は調査せず、専門の調査会社が調査します。いくつか具体例を挙げると、
・柱や梁の寸法が既存図面の寸法との相違がないか等
・溶接不良の有無
・ 鉄筋の本数が不足していないかを調査
・ コンクリートの劣化
他にもいろいろ調査します。
2、構造体に不備があると強度が不足してしまうのでその箇所を是正するよう指摘されます。
3、是正といっても構造体は一部取り除いて付け足すようなことができないのでほとんどの場合、耐震工事にて是正や劣化による構造不安の解決策とします。耐震工事の計画を立てて図面を作成します。
4、もしも躯体の強度不足が深刻だとその分調査の量も増えますし、大規模な耐震工事が必要になります。
ここで調査費用とは別で解体費用や復旧費用がかかってきます。
5、また、古い物件は躯体回りをアスベストで覆っていることが多く、躯体調査の前にアスベスト撤去工事を行う可能性が高いです。(アスベスト撤去工事は専門の資格を持った業者にしかできないので、これがあるかないかで、費用が大幅に変わってきてしまいます。)
6、躯体調査報告書を作成し、指定確認検査機関に提出します。また、耐震工事を選択する場合は、耐震改修設計報告書も提出します。
ガイドライン調査の総括
指定確認検査機関は躯体調査報告書の内容(耐震計画の内容)と合わせてガイドライン調査報告書を作成してくれます。
調査の結果とどのような是正が必要か、既存不適格か等を報告がきます(事前の指摘事項として掲載された部分を是正した場合は、是正項目から外れます)
検査機関からの指摘箇所を是正工事し、写真添付の上ガイドライン調査報告書を発効してもらい、当初目的の工事の確認申請⇒完了検査と進めるようになります。
ガイドライン調査報告書を添付することにより、当初目的の工事が進められるようになります。
検査済証がない物件は、ガイドライン調査と適正化工事をして
ガイドライン調査報告書を取得することで、検査済証の代わりにはなりませんが、
同等の効力を発揮し改修工事を進めることができます。
また、検査済証の無い建物でも、改修工事をして、建物の価値を高められれば、工事の費用を工事後の収入で回収できる可能性が高まります。このため、トータルで見ると費用を抑えることになるケースもあります。
検査済証がない場合は実績のある工務店に相談を
ここまで述べてきたことを飛び込みで普通の工務店さんに依頼すると大抵は断られてしまいます(笑)ならば自分でしようと思うと、どうしても障害が多く、手続きも複雑で、専門家の知識が必要になってきます。ガイドライン調査は平成26年から始まった新しい試みです。この制度を使ったことがある人はもちろん、聞いたことがあったという人も少ないのではないでしょうか。
同じ理由でガイドライン調査の実績がある工務店はまだまだ少ないのが現状です。
ガイドライン調査報告書を発行出来たら次は目的の工事をすると思います。このタイミングでなら普通の工務店さんでも快く引き受けてくれるかもしれません。ですが、ガイドライン調査の時点でも様々の工事が必要となりますので、このタイミングで新たに工務店と契約するのは費用面でも労力面でも非常にもったいないです。
設計事務所経由での依頼になる場合は、適正化に掛かる工事金額や、確認申請後の本体の目的の工事(増築や用途変更、エレベーターなど)の見積等は最初の段階ではわかりません。
実際に工事にかかる費用は施工会社(工務店や建設会社)に見積依頼をしないと出ません。
最初に見積もりするためには見積可能なレベルの図面が必要になります。その為には、まずガイドライン調査としての設計契約を結び、意匠調査や躯体調査をする前に、見積用図面を作成しないと施工店へ見積依頼をかけられません。そこでやっと予算が判明しても想定外であれば工事着手が出来ず、「断念」という選択になります。そうなると設計費用等など、そこまでの費用が捨て金になってしまいます。
弊社であれば、最初の段階で簡易的な調査を行い、事前に概算を提示することが可能な為、続行するかの判断の材料と出来ることと、施工店なので一気通貫することにより、各フェーズでの重複工事の削減検証や、ガイドライン取得後の確認申請~目的の工事までのトータルの計画や提案、概算提示ができます。またその分プロセスが少ないので、工期の短縮化にもつながっています。
ガイドライン調査→設計→施工、全てを一任
実績のある工務店なら、煩雑で難解なガイドライン調査から改装工事完了までを一式で依頼できるので安心です。
検査済証がない物件は、単なる紛失が理由であれば、 台帳記載事項証明書を取得することで検査済証と同等の効力を発揮することができます。既存の建築物は、私たちにとっても社会にとっても役立てていかなければならない大切な資源です。古くても思い入れのある大事な建物をこれからも活躍させたいと思ったら、ぜひ、ガイドライン調査実績のある私たちT&D工務店にご相談ください。
お問い合わせ
リフォーム・増改築・出店工事・オフィス工事・エレベーター設置・検査済証がない建物工事など、お気軽にご相談ください。
お見積もり・プラン作成を無料で承ります。
(内容によっては別途でご相談させていただく場合もございます。)
株式会社ティーアンドディー 〒162-0801東京都新宿区山吹町130-8
下記に検査済証が無い建物についてまとめさせていただいてます。
日々更新していきますので是非参考にしていただけたら幸いです
検査済証がない建物は増改築・用途変更・エレベーター設置工事が出来ません。
ですが、調査して是正適正化工事を行えば、検査済証と同等となる書類を取得し、目的工事を行うことは可能です。
しかし、ほとんどの工務店やリフォーム会社などには検査済証がないという時点で工事を断られてしまうケースが多いそうです。
T&D工務店では検査済証がない建物の工事にも積極的に取り組んでいます。
検査済証が無い建物のT&D工務店の工事方法をご紹介させていただきます。
費用や工期などについてもご紹介させていただきます。
所有されている中古物件が検査済証が無かった場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
また、リューアル工事をした後の運用方法ををご紹介します。
検査済証がない建物は住宅ローンや融資は受ける事ができるのでしょうか?また、融資等を受けられる方法についてご紹介します
検査済証がないビルを所有するビルオーナーさんが住宅マンションからオフィスへ貸し出す為に用途変更をしたい場合をマンガにてわかりやすく解説させて頂いてます。
検査済証がない建物の是正適正化工事する方法の一つのガイドライン調査について解説させていただきます。
必要書類・費用予測等などもご紹介します。
実際にガイドライン調査を行う際の流れについて、
フロー図を用いて解説させていただきます。
検査済証について、各フェーズごとに詳しく解説させて頂いてます。ご参考にしていただければ幸いです。
検査済証がないとどうなるのか?再発行できのか?などの検査済証についての質問に回答させて頂いてます。
弊社が施工させて頂いた検査済証が無い店舗兼住居ビルのエレベーター設置工事の施工事例を
ご紹介させて頂いてます。
検査済証がない戸建て住居をリフォームして賃貸物件として一部貸し出したいとお問合せをいただき、工事をスタートすることになりました。一部床を増床する事になった際に検査済証ない建物だった為、指定検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン調査適性化工事も行いました。
検査済証が無い建物の増改築の方法。
そもそも検査済証とは何か?
未取得の経緯・取得の調べ方・
再発行できるのかなど、検査済証について解説させて頂いてます。
youtubeにて動画で解説させていただいてます。日々更新していきたいと思います。