検査済証のない建物に係る指定確認検査機関を活用した
建築基準法適合調査の為のガイドライン調査を活用した工事
意匠調査とは、目視で確認できる範囲内の現地や図面調査になります。指定検査機関の調査員による調査となります。建築された当初の法律に照らし合わせて判断していきます。
既存図面の提出
まず、前項までのブログでもご案内してきましたが、既存図面が必要となります。既存図面をベースに現地と照らし合わせて確認しています。
その為、既存図面が存在しない、または完全ではない場合は、図面の復旧作業が必要になります。
現地調査
既存図面をもとに、指定検査機関の調査員が現地に赴き、調査を開始します。現地同行をし、建物の案内をします。おもに、写真撮影、採寸、など含めて、図面と照らし合わせて、図面通りなのか、違うのか。現状の記録をします。
今回事例のケースでは、現地主に下記のような箇所を確認していました。
- 建物外観
- 敷地境界
- 建物外周部や隣地との関係
- 屋外広告物等
- ウェザーカバーや内部構造(FD付きがどうか)
- 竪穴区画(階段、PS)の下地
- 建具の仕様
- 感知器の有無
- 非常照明等
- 階段の各寸法
- 屋上設置物
主に、目視による確認と、写真撮影、採寸となります。基本的には非破壊検査となると思います。
指定検査機関からガイドライン調査の見積をとり、依頼後に日程調整をして、現地調査開始となります。
速報レポート
調査後に、速報のレポートを依頼すればもらえます。おおむね、撮影した現地写真に対して、是正指摘事項に対する部分のコメントなどが記載した状況でもらえます。
どこまでが、是正対象になるか。非常に気になる部分かと思います。
是正個所をある程度、事前予測し、予算の想定をしているかとは思いますが、その予測通りなのか、または少ないのか、想定外に多いのか。
今後の、計画にも影響の出てくる部分かと思いますので、一日でも早く把握しておくことは計画の助けになります。その上でも速報レポートは可能な限りお願いしたほうが良いです。
是正工事~報告~反映
①速報レポートをもらったら、指摘に挙がった是正対象箇所の工事を行います。
②施工後は、是正対応した旨の報告書を画像付きで指定検査機関へ報告します。
③是正報告をすると、下記の流れのように、ガイドライン調査報告書へ、是正対応済みとのことで反映されます。
このような流れで、意匠調査および、その是正対応兼ねて進んでいきます。
ガイドライン調査報告書自体は、ここで説明させて頂く、意匠調査以外にも、躯体調査があり、その内容や結果も報告書に記載されるのですが、一旦、躯体調査を除いて、下記に、調査対象になっている項目などをまとめてみたいと思います。
報告書全体の概要
1、調査概要
こちらには、建物名や住所、検査を行った検査員、調査日、調査方法などが記載されています。
2、敷地及び建築物等の概要
ガイドライン調査報告書ですが、主に以下のような構成になっています。この内容に、図面や各役所での議事録等の書類が添付資料としてあります。
案内図
地図画像付きで記載の、対象建物の位置情報
敷地概要
- 敷地面積
- 全面道路
- 地域や区域情報
- 建ぺい率、容積率
- 日影規制
建物概要
- 用途
- 構造
- 耐火構造
- 階数、最高高さ、最高軒高
- 確認年数、竣工年数
- 建築主、設計者、施行者
- 確認検査機関等
3、総括
手続き
建築基準法に基づく手続き関係
集団規定
- 接道義務
- 道路内の建築制限
- 用途地域制限
- 建ぺい率、容積率制限
- 高さ制限(道路斜線、隣地斜線、北側斜線)
- 日影規制、高度地区規制
- 防火・準防火地域内の建築物
単体規定
- 耐火建築物
- 防火区画(面積、高層、竪穴、異種用途)
- 階段等の手摺等
- 廊下の幅
- 直通階段の設置等
- 2以上の直通階段の設置等
- 避難階段の設置
- 避難階段、特別避難階段の構造
- 居室の採光、換気、シックハウス対策
- 屋外への出口
- 排煙設備の設置
- 非常用照明
- 敷地内通路
- アスベスト
- 地階の防湿等の措置
- コンクリートブロック塀
- 構造上の適法性
関連法規*内容は地域によります
- 東京都安全条例
- 区域内の建築物の制限に関する条例
- 花と緑のまちづくり要綱
- 駐車場法
- 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
- 屋外広告物法
- 消防法 東京都火災要望条例
4、建築基準法に係る手続き
3の総括の手続きに当たる部分の詳細になります。
5、建築基準法上の遵法性
3の集団規定、単体規定、関連法規に当たる部分の詳細になります。
6、構造計算書・構造図面の照合
こちらは躯体調査の内容
まとめ
意匠調査にかかわる内容を、一通り流れで見てまいりました。実際は、該当建物の竣工年数や状態により、内容も変わってくると思います。前項の内容に対して、年数的に調査対象外の項目もあると思います。現状として、適法、既存不適格、はたまた、そうではないのか。
今回は意匠調査の内容についてでしたが、どうしても予算に関わってくる是正部分。
ガイドライン調査費用以上に、コストがかかってくる部分かと思います。
この部分を次回、掘り下げていければと思います。
次回に続く・・・
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