ガイドライン調査を利用した検査済証の無い建物の改修工事vol.12

第3章 意匠検査における費用予測

意匠調査が終わると、 検査機関から是正対象箇所や懸念、 指摘事項の資料が手に入ります。 基本的には、 こちらに基づいて是正工事を進めていきますが、 事前に予測できるに越したことはありません。 とは言え、 事前に予測しきるのも難易度が高いというのが現状です。


確認申請に使った図面がある


ここでひとつポイントになるのが、 確認申請に利用した図面が残っているかどうかです。
実際に工事をした竣工図もあるようであれば、 図面上での見比べ、 また現地で確認申請図に基づいて違いを確認していく事も物理的にはできます。
しかしながら、 確認申請に使った図面が無い、 どの図面を使用したかわからない、 役所にも保管されていない、 という事も往々にしてあると思います。


検査機関の意匠調査前にある程度見立てが出来るか


躯体調査と違って、 解体して開いてみなければわからない、 調査結果が出ないとわからない、 構造計算してみないとわからない、 という程、 物理的な不確定要素が多すぎるかというと、 それこそ目視で確認できる範囲内が意匠調査なので、

「大方の予測は建てられるのではないか」という考えもあるかもしれません。
ただ、 様々な図面、 資料、 建物現状の全体チェック(図面が無ければ既存図起こしから)、 建設当初の法律を調べ切り、 不適合部分(是正工事ポイント)を洗いだすことは、 物理的にはできるかもしれませんが、 契約前(ガイドライン調査を活用して目的の工事を行う)に、 それを無償で(見積や概算見積もりでと言うべきでしょうか)遂行してくれる設計事務所や建設会社、 工務店などもあるとは思えません。
それこそ、 ガイドライン調査を申し込んで検査機関の行う意匠調査を(+図面起こし他諸々)模擬試験のような形で行うレベルの労力とコストがかかってしまいます。とは言っても、 最低限明確にわかる範囲内でもいいから、 見てほしい・・・。可能性を示唆してほしい・・・。というのが実際のところではないでしょうか。

確約や保証はできなくても・・・

となると、 完璧な見立てはできなくとも、 いくつか気を付けるべきポイント、 指摘されそうなポイントを少しでも把握しておくと良いかもしれません。 ここでは、 あくまで参考として、 意匠調査で引っ掛かると、 このような是正工事が必要になる事例を紹介できればと思います。

敷地に関する事

敷地に関することは、 場合によっては致命的か解決が困難になるケースがあります。以下の点は、 よく確認したほうが良いかもしれません。

  1. 隣地境界⇒越境してるものが無いか
  2. 道路境界⇒オーバー している、 全面道路幅員、 設置面など
  3. 北側斜線等⇒建物がかかっている可能性も
  4. ブロック塀⇒控え壁が必要な場合も
  5. 建築物⇒と判断されてしまうような申請以外の建物が敷地内にあるか

測量図などの資料があると、 検証もしやすいでしょう。 ない場合は、 最悪のケースお隣さんや隣接の関係者との協議・・が必要な事項が出てきてしまいますと大変です。規模にもよりますが、 是正工事や物事の解決に数百万以上かかるケースもあるかもしれません。

(数千万や、 そもそも断念せざるを得ない状況もあるかもしれません)

検査機関による指摘事項

面積に関する事

建蔽(けんぺい)率、 容積率です。

超えていれば、 減築せざる得ない事もあるかもしれません。 削りようがない形状や、 減築する以上壊した部分の復旧は自ずと必要になります。 数百万、 数千万とかかる場合もあるかもしれません。

防火に関すること

地域により、 防火地域が決められています。 基本的には建築当初の基準と照らし合わせますので、 途中で防火地域が変わってしまっていても(⇒準防火地域に変わっているなど)基本的には建築当初の基準で大丈夫なはずではありますが、 建築当初の基準は求められます。 地域にもよりますが、 下記のようなポイントはあるのではないでしょうか。

  1. 外壁や屋根の仕様
  2. サッシの仕様(時期によってはガラスの仕様)
  3. 耐火被覆(これは意匠では確認しきれないかもしれませんね)
  4. .防火戸または特定防火戸
  5. 竪穴区画及び区画
  6. 火災報知設備
  7. 内装材

勿論これですべてではないですが(構造や規模、 地域により求められるものも違いますが)気にされたほうが良い部分です。 ここも費用が嵩んでくる要素の一つではないでしょうか。

まとめ

参考にいくつか挙げさせていただきましたが、 勿論これだけではありません。

また、 予測を立てたとしても、 判断するのは検査機関になりますので、 (地域によっては役所の判断やご意見があるかもしれません)結局は調査をしてみないと(ガイドライン調査)正確には出ないといったとこではありますが、 可能性ベースとはなるものの、 まず致命的な要素が無いか、 可能性がどうか、 というところからのスター トになると思います。 概ね、躯体調査側の是正工事も含めて、 建替えるよりは高くはならないケースが多いかとは思いますが、 やはり見えないのが怖いところですね。意匠の是正工事のほうは、 数十万~数百万位に納まる場合もあるかもしれませんが、 そればかりではないと思います。 とはいえ、 躯体と違い、 まだ予測は幾分か立てやすいかもしれません。

次回は、 第4章「躯体調査」を掘り下げていければと思います。

次回に続く・・

実際に弊社が工事させていただいた事例をYouTubeにて紹介させていただいてます。是非参考までにご覧ください。

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