ガイドライン調査を利用した検査済証の無い建物の改修工事vol.9 第2章 復元図面の作成

既存図面の有無と竣工年の関係

ガイドライン調査を進めるにあたり、まず復元図面の作成が必要になってきます。前項でも触れましたが、下記の2つの条件下では、図面自体が手に入る(施主様が図面所持されている場合は、その図面が、確認申請に使われた図面なのかの判断がつく)可能性があります。

  • 確認済証の発効履歴がある
  • 昭和60年以降の建物

役所のほうで、確認申請に使用された図面を保管されている可能性があるからです。こちらをうまく利用できるようであれば、図面の復旧作業においては、かなり楽になると思います。

ただ、上記以前竣工の建物(ここでは、確認済証の発行が確認できないケースは前提から外させて頂きます)の場合は下記のケースに分かれると思います。

  • 確認済証の発効履歴はあるが、紐づいた図面が役所に存在しない
  • 施主様が部分的に図面を保管していたが、確認申請に使用された図面かは判断がつかない
  • 双方ともに図面が確認できない

用意しなければいけない図面

前項により、比較的図面がそろう場合は、その分、復旧図面作業が少なくなると思いますが、一から図面を作っていくことになるケースも多いと思います。

参考までに、弊社施工実績物件では、以下のような経緯をたどりました。

  • かなり劣化した手書きの保管図面を取得(勿論図面のすべては揃っているわけではない)

  • 現在の使用用途として使いやすいようにA3用紙に出力できるよう、取得図面全てを一旦スキャンしデータ化(図面が大きいため、専門業者へ依頼)
  • データ化した図面資料をベースに各関係者で共有し、意匠関連図面の作成の参考に、また躯体関連図面も一部存在していたため躯体関連図面の参考に
  • まず、意匠側にて、既存保管図面と、現状の現場にての採寸や目視等での照らし合わせにより、図面復旧作業
  • この段階で、構造系の図面の復旧はさすがに厳しいのですが、今後の調査や、強度他、可能性や仮説を立てるためのベース資料に

まずは上記のような流れに進みますが、構造関連の図面は現時点では復旧しきれなくとも、そのほかの意匠関連の図面(案内、敷地、平面、立面、展開、天伏、建具姿図…etc)を作りきります。

一旦はこの復旧図面を基に、下記の工程へ進むに当たり使用していきます。

  • ガイドライン調査をお願いする指定検査機関への相談や提出
  • 各役所(建築指導課)への事前相談等への参考図面
  • 管轄の消防署への事前相談等への参考図面

また、復元図面も勿論必要なのですが、復元した図面の現状に対して、今回目的とされている工事を行うにあたる予定図面も、やはり上記のプロセスを進めるに当たり必要となってくると思います。

ただ、予定図面といっても、ガイドライン調査を進める中で出てくる是正ポイントや、この後の大きな懸念事項になる構造上の問題等で、その内容は大きく変わってくる可能性もあります。

ここがやはり、検査済証の無い建物の工事において、難易度と親交の複雑性が高まる部分の一つでになってくると思います。

その為、弊社施工事例物件では、まず意匠面で復旧した図面に対して、現状推察できる範囲内で、予定図面を作成し、一旦はこれをもって進めていきました。

何を計画するにも、相談するにもまずは既存図面(特にこのようなケースでは)が必要になります。また、以降のブログで詳細は触れていきたいと思いますが、基本的には、復旧した既存図面に対して、意匠調査(検査員による現地調査)が行われます。

次回は、役所や関係機関への事前相談についてご案内できればと思います。

次回に続く・・・

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