「自宅にエレベーターを後付けしたいが、総額でいくらかかる?」「そもそも工事可能なのか?」「工期はどのくらい?」このように、エレベーターの設置には費用や法規制など、多くの疑問がつきものです。
特に後付け(リフォーム)の場合、新築とは異なる注意点が存在します。
今回は、これまで様々なケースの設置工事に携わってきたT&D工務店が、エレベーターの後付け工事において、「失敗しないために注意すべきポイント」や「費用・期間」についてわかりやすく解説します。

目次
エレベーター設置に必要な「建築工事」
エレベーターの設置を検討する際、多くの方が「エレベーター本体の価格のみ」を気にされます。
しかし、後付け工事において最も重要なのは「付帯する建築工事費用」です。
本体価格以外にかかるコスト
- スラブ貫通(床開口)工事:建物内部に設置する場合、エレベーターが通る穴を作るために、各階の床(スラブ)に穴を開ける工事です。
- 昇降路の造作(シャフト工事):エレベーターが通る縦穴(シャフト)を新設する工事です。(鉄骨・RC・木造ともに工事)
- 壁面解体・内装復旧:設置場所の壁を一度取り払い、設置後に内装を綺麗な状態に戻す工事です。
- 電気・設備工事:エレベーターを動かすための専用電源の確保や、既存配管(空調、換気、水道など)を移設する工事。
- 防災・法規対応:レイアウトが変わっても安全に暮らせるよう、避難経路の確保や、防火対策などを行い、建築基準法にしっかり適合させます。
エレベーターを設置できる建物の「3つの条件」
「うちの建物には設置できるのか?」を確認するためのチェックポイントは以下の3つです。
①設置スペースの有無
まず、設置できるスペースが確保できるかの検討が必要です。
設置方法には、建物の中に付ける「屋内設置」と建物の外に付ける「屋外設置(増築)」の2パターンがあります。
・屋内設置の場合
床(スラブ)を貫通させる必要があります。ホームエレベーターで最低「半畳〜1畳」程度、業務用ならさらに広いスペースが必要です。
・屋外設置の場合
建物の外に増築する形になります。この場合、「建ぺい率」や「容積率」の範囲内に収まるか確認が必要です。

②構造上の条件
エレベーターを設置するにあたって床に穴を開けるため、建物自体の強度が耐えられるかどうかの調査が必要です。構造設計士と一緒に調査を行い、必要であれば耐震補強工事を行います。
・RC造(鉄筋コンクリート)や鉄骨造:状況により補強工事が必要になる可能性があります。
・木造:柱や梁(はり)の補強工事が必要になるケースが多いです。
※特に2000年以前の建物などは、設置と同時に耐震化工事を行うことで、建物の安全性を大きく向上させることができます。

③検査済証の有無(重要)
原則として、エレベーターを設置するには役所への、「確認申請」が必要です。
その際、既存の建物が法律を違反していないことを証明する「検査済証」の提出が求められます。
※検査済証とは?
→建物が完成した際に、図面通り適法に建てられたことを公的に証明するための書類です。
検査済証がないと、融資やローンが降りないケースや、売買する際に「違反建築物」の疑いで低評価を受け、売却できないリスクもあります。
検査済証について詳しく⇨https://and-td.com/kensazumisho-guideline/
・検査済証がある場合:スムーズに申請・設置工事が可能です
・検査済証がない場合:原則としてエレベーターの設置はできません。しかし、諦めるのはまだ早いです。
「検査済証がないから他社で断られた」という方でも、設置できる解決策があります。詳しくは次の章で解説します。
「検査済証がない」建物へのエレベーター設置方法
古い建物などでは「確認済証はあるが、完了検査を受けておらず検査済証がない」というケースも決して珍しくありません。もし他社で「検査済証がないから無理」と断られた場合でも、以下の方法で設置できる道が残されています。
解決策:ガイドライン調査による適法化
検査済証は再発行できませんが、国土交通省のガイドラインに基づいた調査を行うことで、法的に設置可能な状態へと導くことができます。
1.ガイドライン調査の実施
建物が現行の法規に適合しているか、建築士が詳細に調査します。
2.適正化工事(是正工事)
違反箇所や既存不適格部分(現在の法律に合わない部分)を修正する工事を行います。
3.確認申請・設置
適法化が認められ次第、正式にエレベーター設置の申請・工事が可能になります。
建物の条件によりますが、弊社の事例では「建て替え」よりもガイドライン調査を活用した「是正工事」の方が、コストパフォーマンスよくエレベーターを設置できる可能性が高いです。
検査済証のないビルをガイドライン調査を活用して、是正適正化工事を行なって、エレベーターを設置した施工事例がありますので、よければご覧ください。
エレベーター設置工事の流れと期間の目安
メーカーに直接問い合わせても、建築工事(床の開口や補強)に関しては対応できないため、結局は工務店への相談を促されるケースがほとんどです。
最初から、建築と設置をまとめて管理できる「エレベーター工事に強い工務店」に相談するのが、最もスムーズな最短ルートです。
工事のステップ
1.現地調査:設置スペース、建物の構造、法規の確認を行います。
2.図面作成・構造計算:補強計算などを策定し、安全性を確保します。
3.施工開始:役所へ申請書類を提出します。
4.施工開始:解体工事→耐震補強→エレベーター据付→内装仕上げの順に進めます。
5.完了検査・引き渡し:検査に合格後、すぐにご利用いただけます。
工期の目安
・ホームエレベーター
比較的、大きな障害がない限り工事は進みやすいです。
エレベーター本体の作成におおそよ1ヶ月半〜2ヶ月くらいかかります。その間に内装工事も
製作期間内で終わるように進めれば、約2ヶ月〜3ヶ月程度で設置完了までいけるケースが多いです。
・業務用エレベーター
製作期間がホームエレベーターより長くかかるため、少し余裕を見た工期と、早めの発注が必要です。
エレベーターの種類と選び方
ホームエレベーター
主に住居に設置されるエレベーターです。一般的なご自宅に設置されるのはこちらが多いです。
ホームエレベーターは比較的安価に設置はできますが、あくまでも一般家庭用であることや、
階数や昇降スピード、積載においても制限があります。
※三菱日立ホームエレベーターHP参照⇨https://www.mh-he.co.jp/
※パナソニックホームエレベーターHP参照⇨https://sumai.panasonic.jp/elevator/home-elevator/
| 建物 | 戸建て住宅・併用住宅(居住部分) |
| 定員数 | 2〜3人 |
| 停止回数 | 2階〜3階*一部5階まで到達するものもあります。 |
| 必要面積 | 最低、半畳〜1畳 |
業務用エレベーター
高層ビルやマンションなど不特定多数の人が出入りする施設は業務用エレベーターが設置されます。
建物の大きさによってサイズ等が変わってきます。
| 建物 | 高層ビル・中・高層マンション・福祉施設・学校等 |
| 定員数 | 6〜15人 |
| 停止回数 | 3階以上 |
| 必要面積 | 設置するエレベーターのサイズによって変動 |
快適な暮らしと建物自体の資産価値の向上
エレベーターを設置することで、生活の快適さと建物の資産価値は上がります。
特に住居におきましては、将来的に車椅子での生活を見据えると、エレベーターの設置は必要不可欠な備えとなります。マンションやビルにおいてはエレベーターの有無が賃料の検討材料になったり、売買価格に大きく影響したりします。
また、検査済証が無い建物は是正適正化工事を行うと同時に、「旧耐震から耐震化工事」を行うことで、建物の自体の価値を向上することができます。
*新耐震であっても、2000年を境に強度基準が変わっています。状況により、より耐震化する工事が意味を成す場合もあります。
何より使用される方の不便さを解決し、快適に過ごせるようになります。将来の計画と、未来に残す建物を作るためのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

下記に検査済証が無い建物についてまとめさせていただいてます。
日々更新していきますので是非参考にしていただけたら幸いです

検査済証がない建物のガイドライン調査について解説させていただきます。
必要書類・費用予測等などもご紹介します。











