躯体調査とは? 検査済証のない建物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査の為のガイドライン調査を活用した工事

ガイドライン調査における躯体調査とは

躯体調査とは


ガイドライン調査における「躯体調査」とは、目視で確認できる範囲を対象とした「意匠調査」とは異なり、建物の構造骨組み(柱・梁・壁・基礎など)の健全性や仕様を確かめる調査です。
通常、躯体は仕上げ材や天井・壁の内部に隠れており目視では確認できないため、部分的に解体して内部の構造体を直接確認する「破壊調査」を行うのが大きな特徴です。
この躯体調査は、専門の調査会社へ委託して実施するものであり、ガイドライン調査を担う「指定確認検査機関」が直接行うわけではありません。 専門の調査会社が実施した検査の「結果報告書(レポート)」をもとに、指定確認検査機関が法適合の可否を判断する仕組みになっています。
そのため、ガイドライン調査自体の費用とは別に、専門の調査会社への「別途費用」が発生する点もあらかじめ考慮しておく必要があります。
躯体調査の大まかな流れとしては、主に以下のように進んでいきます。

躯体調査の流れ

1.既存の構造図面の確認・協議
既存の構造図面等がある場合は、それを参考に指定確認検査機関と担当する構造設計者が協議を行い、今回の調査箇所と数量を決定します。
2.図面の復旧(資料がない場合)
参考になる図面や資料がない場合は、現地の躯体状況を点検口の設置や部分的な解体によって確認しながら、まずは「図面の復旧(復元設計)」からスタートすることがあります。
3.調査のための部分解体
上記いずれかの方法で決定した調査箇所に対して、調査を可能にするための解体作業を行います。
4.アスベストの確認・撤去
解体や調査の過程でアスベストが発見された場合は、安全確保のためにアスベスト除去・撤去工事を先行して行うことになります。
5.専門調査会社による調査開始
現場の準備が整った段階で、専門の調査会社による本格的な躯体調査(破壊検査など)が始まります。
6.調査結果レポートの入手
調査実施後、一定の期間を経て、詳細な調査結果をまとめたレポート(報告書)を調査会社から入手します。

ここまでが躯体調査の全体的な流れです。
しかし、実務においてはある種、ここからが「本番」と言えます。建物の状態にもよりますが、安全性の確保や手続きを考慮すると、「既存不適格だからそのままで良い」とするよりも、現在の建築基準(現行基準)で強度を検証していくのが現実的だからです。
そのため、調査の後は単に不具合を直すだけにとどまらず、耐震診断や補強工事といった、次のような具体的なプロセスへ移行していくことになります。

躯体調査後の工事の流れ

1.躯体補強の必要性の判断
診断の結果、多くのケースで躯体の補強が必要となります。単に不具合のある部分を部分的に直す(是正する)というレベルではなく、構造全体の強化が求められることが大半です。
2.耐震診断・補強設計の実施
具体的な補強方法は、実質的に「耐震工事」とほぼ同様です。そのため、まずは「耐震診断」を行い、その結果をもとに「耐震設計(=躯体の補強設計)」を策定します。
3.設計図書に基づく躯体補強(耐震)工事
作成された補強設計図書(図面)に則って、現場で精緻な躯体補強(耐震)工事を実施します。
4.指定確認検査機関からの承認
安全性を証明する「構造計算書」と、上記の補強工事が適切に行われた施工記録等をもって、指定確認検査機関から最終的な承認を得る形になります。

ざっと、このような流れになりますが、やはりガイドライン調査において、この「躯体部分(調査・設計・補強工事)」が全体の工期(期間)や予算において、非常に大きなウェイトを占めることになります。
ただ、せっかく既存の建物を予算を投じてガイドライン調査を行い、再利用しようとしている中で、将来の地震リスクや建物保全上の構造強度に不安を残してしまっては本末転倒です。その意味では、「耐震工事による安全確保」や「建物の価値向上」を目的とされている場合、ガイドライン調査による適正化工事は非常に大きな意味をなしてきます。
次回以降、この内容についてもう少し掘り下げてご案内していきます。

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