築20〜30年建物の適法化実務|高額な是正費用を防ぐ適法化の手順 - T&D工務店

築20〜30年建物の適法化実務|高額な是正費用を防ぐ適法化の手順

築20〜30年建物の適法化実務|高額な是正費用を防ぐ適法化の手順

「うちは平成に建てられた比較的新しいビルだから大丈夫」「新耐震基準を満たしているから問題ない」と考えていたビルオーナー様が、テナント出店に伴う用途変更や、バリアフリー化のためのエレベーター後付けを検討した際、行政や設計事務所から「検査済証が存在しないため、このままでは確認申請が通らない」と指摘されるケースは少なくありません。
「なぜ平成築のビルで検査済証がないのか」「建て替えるしかないのか」と戸惑うケースもありますが、平成築・新耐震のビルであれば、旧耐震の建物に比べて低いコストと短い工期で適法化し、目的の改修工事を実現できる可能性が高くなります。
本記事では、平成築ビルで検査済証が不足している時代背景から、新耐震ビルならではの構造上の特徴、そして高額な本調査(数百万円)のリスクを抑える「簡易調査(仮診断)」の活用法について、実務目線で解説いたします。

なぜ「平成築・新耐震のビル」なのに検査済証がないのか

「新耐震基準(昭和56年6月以降)」かつ「平成時代に施工されたビル」であれば、建築基準法を遵守して建てられていると考えられます。しかし現実には、築20〜30年(平成元年〜15年頃)のビルであっても、検査済証が存在しない物件が一定数存在します。
その主な理由は、当時の社会的な完了検査受検率(取得率)の低さにあります。
国土交通省の公表データによると、平成10年(1998年)頃までの全国における完了検査受検率は、38%程度にとどまっていました。当時は着工前の「建築確認申請」を行っていれば、工事完了後の「完了検査(指定検査機関等による現地チェック)」を受けずに使用を開始するケースが一般的であったためです。平成11年(1999年)以降、行政による指導強化や金融機関のコンプライアンス厳格化に伴い完了検査率は上昇しましたが、それ以前に竣工した平成初期〜中期のビルには、「建物自体は適切に施工されているものの、完了検査済証のみが存在しない」という物件が残ることになりました。

旧耐震ビルと違う、平成築ビルが持つ大きな「構造上のアドバンテージ」

検査済証がない建物を適法化し、増改築や用途変更の確認申請を通すためには、国土交通省のガイドラインに基づく「法適合状況調査(ガイドライン調査)」を行う必要があります。
このとき、昭和56年以前に建てられた「旧耐震ビル」と平成築などの「新耐震ビル」では、是正にかかる費用と難易度に大きな差が生じます。
・旧耐震ビルの場合
現行の耐震基準を満たしていないケースが多く、ガイドライン調査の過程で行う「躯体調査(構造診断)」において構造体(柱・梁・基礎)の強度不足が指摘される傾向にあります。その結果、鉄骨ブレースの追加や耐震スリット、増設袖壁(補強袖壁)の新設など、数千万円規模の耐震補強工事が必要となります。
・平成築(新耐震ビル)の場合
新耐震基準(新耐震設計法)に基づいて設計・施工されているため、構造骨組み自体の強度は現行法と同等レベルを備えているケースが大半です。そのため、躯体調査を行っても大規模な耐震補強工事が発生せず、構造是正コストをゼロまたは軽微に抑えられる可能性が高くなります。
平成築のビルは、躯体(構造骨組み)の安全性が確保されているケースが多く、書類の整備と一部の意匠・設備を是正することで適法化を進めやすい特徴があります。
※上記は一般的な傾向です。平成築であっても、溶接不良やコンクリート(RC)の劣化など、現況の躯体状態により是正工事が必要となる場合があります。

平成築ビルで指摘されやすい「意匠・防火・避難」の是正ポイント

躯体(構造)の補強が不要な場合でも、ガイドライン調査の「意匠調査(目視・図面照合)」においては、以下のような不適合箇所が判明し、是正工事が必要になることがあります。

・過去のテナントによる無届改修・間仕切り変更
歴代テナントが行政への届出を出さずに勝手に壁を新設したり、避難経路を縮小させているケースです。当初の避難規定に合わせて経路幅を確保し、不要な間仕切り壁を撤去します。
・防火区画・防火戸の不備
竪穴区画(階段室やエレベーターシャフトの周囲)の防火戸が経年劣化で確実に閉鎖しない状態になっていたり、網入りガラスや特定防火設備の仕様に適合していない部分を修正します。
・消防用設備・非常用照明の不足
火災報知器、誘導灯、非常用照明などが現在の用途規定に合わせて正しく配置されていない場合、必要な機器を追加設置します。

これらの「意匠・防火・避難」に関する是正工事は、構造補強工事に比べて費用を抑えやすいため、平成築ビルの適法化は費用対効果が高い傾向にあります。

平成築・新耐震ビルの適法化フロー図|躯体補強不要の低コストな特徴と、本調査の費用掛け捨てリスクを防ぐ簡易調査(仮診断)の流れ

高額な本調査の前に「簡易調査(仮診断)」を活用する理由

平成築ビルが適法化しやすい傾向にあるとはいえ、いきなり指定確認検査機関等による本格的な「ガイドライン調査(本調査)」に着手することは推奨されません。本調査は、手続き費用や専門会社による破壊検査実費などを含め、約300万〜600万円前後(延床〜300㎡の場合)の初期費用が発生するためです。
「新耐震だから安く済むだろう」と判断して本調査に入ったものの、万が一、過去の大規模な無届増築などによって高額な是正工事が必要と判定され計画を断念した場合、支払った本調査費用は回収不能な出費となります。
弊社では、このリスクを抑えるため、本格的な本調査へ移行する前の段階で「簡易調査(仮診断)」を実施しております。

簡易調査(仮診断)の3つの特長

1.公的記録に残らないため内々で検討可能
行政協議前の事前調査も可能です。この段階の調査を理由に行政指導を心配される必要はありませんので、公的記録を残すことなく、社内での事業性検討や金融機関への融資打診用にリスクと概算費用を把握することができます。
2.「小・中・大」の3パターンで総工費の上限(天井)を提示
過去のガイドライン調査実績と実務データに基づき、「①最小限で済んだ場合(小)」「②標準的な是正(中)」「③想定される最大規模の是正(大)」の3パターンで概算費用を算出します。あらかじめ費用の天井を把握できるため、安全な資金計画の策定が可能です。
3.本工事ご依頼時は診断費用約70万〜90万円(延床〜300㎡の場合)を全額相殺
簡易調査(仮診断)にかかった費用(約70万〜90万円前後のパック)は、そのまま弊社に是正・改修工事をご発注いただいた場合、最終的なトータル総工費から全額差し引き(相殺)いたします。これにより、最終的な実質負担を最小限に抑えてスタートすることができます。

まとめ:平成築のビルにおける適切な適法化プロセス

「平成築・新耐震なのに検査済証がない」という問題は、適切なステップを踏むことで解体を伴わずに適法化を進めやすいケースです。調査から施工までを一貫して管理する体制のもとで手続きを進めることで、コストを抑えつつ建物の遵法性を証明し、目的の用途変更やエレベーター後付け工事を実現できます。
「所有する平成築ビルの是正費用を把握したい」「計画を進めるためのロードマップを整理したい」とお悩みの建物所有者様や実務担当者様は、高額な本調査を申し込む前に、リスクを抑えて総工費の上限が確認できる弊社の「簡易調査(仮診断)」をご活用ください。

【検査済証なしの是正・改修をご検討の方へ】

ガイドライン調査を活用した法適合化から、既存建物の構造補強、各種建築工事・確認申請まで自社一貫で最短ルートをご提示いたします。概算費用やスケジュールの目安など、下記よりお気軽にご相談ください。

【エレベーター設置をご検討の方へ】

設置スペースの確保から、柱や梁の構造補強、内装復旧・確認申請まで、ビルや店舗を熟知した工務店ならではの最適プランをご提案いたします。概算費用や所有物件への設置可否など、下記よりお気軽にご相談ください。

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